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20011/7/7
7月2日「これからの木造住宅を考える連絡会(これ木連)」主催の会に出席した。
1999年に彰国社から出版された「民家の自然エネルギー技術」と同じ題名で、この本をまとめられた早大名誉教授の木村健一先生がお話しされた。手すりと水
木村先生は1975年、日本太陽エネルギー学会を創設されたお一人である。当時、事務所は早大の木村研究室内に置かれ、正に日本の太陽エネルギー利用を提唱された先駆者である。
この本は、出た当初に購入して読み、非常に多くの事を学ぶ事ができた。
民家には日本民族として、この地に住み着いてからの歴史が染み込んでいるはずである。
民家は住まいの原点であり、人が快適に生きて行く為の工夫の宝庫である。
民家には今のようにエネルギーがほとんど使えない時代に、営々と人が生き抜いて来た知恵が詰まっている。
その土地が持っている風土を、何十世代も何百世代もの長い年月を掛けて読み取り、形として表した物が正に民家なのである。
昨日今日簡単に作られた形ではないし、仕組みではない。
測定値は無いが、アメダスなど及びも付かない経験を噛み砕き、それ元にして作り上げた形である。
今、民家に求められていることは、その土地に生きる為に詰め込まれた暗号を読み解く事だと思う。
あらゆる知恵が詰め込まれている家の中が暗いのは、勿論、厳しい自然の中で生き抜く為の知恵がもたらしたものである。芙蓉
現在、暗いことは改善すべき遅れた古さのように言われているが、この暗さの中に含まれている意味は大きい。
しかし、特に暖冷房機器が普及するように成って、自然を読み解き、形に表す術は必要がなくなってしまった。
自然は生きる為の条件を生み出す場ではなく、単なる風景だけに成り下がってしまった。
自然の奥行き、深さは必要なく、表面に見えるだけの薄っぺらな物に成り下がってしまった。
自然の深遠さを見通す深い洞察力は無用な長物に成ってしまった。
これもそれも全てが、電気エネルギーと化石エネルギーが自由に手に入る様に成ってから加速されたことである。
特に戦後は都市化が急速に進み、読み解かねばならない自然は消滅してしまった。その為、更に拍車を掛けて自然離れが進んでしまった。

茅葺きの民家を見た時、大部分の人達が大いなる郷愁を憶えるのは何故なのだろうか。
単なる見た目の懐かしさだけではないような気がする。
DNAの中に染み込んでいる何かを感じているのではないだろうか。
だからと言って茅葺きの家をいま作れば良いわけではない。それでは単なる懐古主義に過ぎない。しぶき

去年の三月に完成した実験住宅は、民家の持っている知恵を少しでも学び取り、現代の住まいに生かして見ようという考えからスタートした。
それが「買うエネルギーから、自前するエネルギーへ」であり、「CO2ゼロを目指す家」となった。
昔はエネルギーといっても主に薪であっただろうから、全てを自分で調達したのだろう(都市部では薪は買ったのだろうが、日本の社会全体としては全てを国内で自前していた)。
結果として、CO2は自然界で循環して特別増加することも起こらなかった。

民家で注目したのは5つの機能についてである。
(1)茅葺き屋根機能、(2)空気の流れ機能、(3)土壁機能、(4)土間機能、それに(5)365日サイクルの思想である。
そこから、先ずは、基本的に全体としては出来るだけ熱容量を上げること、断熱性能を上げること、夏は日射を絶対入れないこと、冬は出来るだけ日射を入れること、無風時にも上昇気流で空気が流れること、熱容量による温度差を利用することを考えた。はく鳥
その為、断熱材の中でも最も重く、一本一本の繊維の中に湿気を吸収できるセルロースファイバーで全体をくるむことにし、南面の大きなガラス窓(12平米)には断熱ロールカーテン、最上部のジャロジー(2.3平米)にはポリカのハニカムコアを内断熱度戸として断熱の強化を図った。
今回は、身近にある材料の選択と、全体としてはその材料のリユース化などは考えなかった、と言うよりそこまで考えられなかった。
但し、2階の床だけは自社開発のリユース栗無垢材を使った。これは基本的には腐るまで何度でも取り外して再利用する床材として独自に開発した物である。
(1)の茅葺き屋根機能は特に現代の技術を持ってしても簡単には真似できない。
その機能は1)気化熱涼房機能、2)圧倒的な遮熱機能、3)雨音遮音機能、4)断熱機能、5)排煙機能、6)身近で栽培した材料を使える、など多機能に渡るからである。
これは基本的には実現が不可能なため、単に200mmのセルロースファイバーを入れるだけに止めた。
本来はガルバ+空気層+透湿ボード+セルロース+透湿ボードとすべきであるが、予算の関係で透湿ボードを構造用合板にしてしまった。
(2)空気の流れ機能は、最下部の空気の取り入れ口と、最上部の排出口までの高さ方向の距離と排出口の大きさの問題である。
最上部の排出口には0.6×0.55mジャロジーを7枚(2.3平米)を取り付けた。
(3)土壁機能は、実際に土の断熱性能程度で済ます訳には行かないので、ガルバ+空気層+透湿ボード+セルロース+透湿ボードとした。
これにより、室内湿度は常にバランスを取るように変動することを目指した。森
(4)土間機能の一つは、総合的な熱容量を付加する事と理解し、12平米の大きな玄関土間を設けたことと、二階の床40平米分にアクアレイヤー90mm(コンクリートで同じ熱容量にすると重さで14トン分)を設置した。また、熱容量を出来るだけ大きくする為に、建物全体をくるんでいる断熱材もそういう意味で最も重いセルロースファイバーを選んだ。
(5)365日サイクルの思想、これは年間を通して太陽熱を地中に染み込ませ、15~16度ぐらいの地中温度を6~7度上げてやろうという試みである。これに二階の床のアクアレイヤー蓄熱層へのダイレクトゲインと組み合わせ、ランニングコスト ゼロで、ここは昔の民家と違い、暖かく快適な冬が過ごせる事を目指した。

今回は以上の事を試みたが、これからも更に民家の勉強をし、現代まで培った技術との新しい組み合わせを模索して行きたいと思っている。
長い時間を掛けて作り上げられてきた民家の考え方こそが、新しいエネルギー時代に必要なのではないだろうか。
エアコンなどの暖冷房機器を入れて初めて成り立つ現在の家よりも、民家から出発することこそが、私達にとって新しい可能性を与えてくれるのではないだろうか・・・・

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