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「未曾有と想定外・東日本大震災に学ぶ・私達は今回の災害を転換点にできるのか」を読んだ。
著者の畑村洋太郎氏は現在、原発事故調査・検証委員会の委員長であり、失敗学会を立ち上げた方である。
失敗学から見た今回の原発事故と、その元にある核分裂技術をどう見られているのか非常に興味があった。
しかし、読み終わって何とも物足りなさが残った。
核分裂技術を今までの技術の延長と見ている様に見えるからだ。
核分裂技術とは何か、という本質論が語られていない。
この本は、それが目的ではないのかも知れないが、やはり、原発というより核分裂技術を人類が扱って良いのかどうかまで、掘り下げないと問題の解決には成らないと思う。
そこに入り込んでいないのは、やっぱり何となく世のしがらみの影響の方を受けているように感じた。

あらゆるシステムは設計の時点でフェイルセイフを目指す。
フェイルセイフとは、どんな想定外の事故が起こっても、人が死んだり、怪我をさせないなど、人に危害が加わらないでシステムが停止する設計をすることだと思う。
しかし、原発が一旦事故を起こしてしまえば、フェイルセイフ思想では対応できない。
何故なら、事故により必ず放射物質が放出され、それを排除することは出来ないため、少なからぬ被害を不特定多数の人に与えることになるからだ。
それも被害が出るのが何時に成るか分からない。
その為、核分裂技術を使うシステムに於いてはフェイルセイフという考え方は絶対に成り立たないのである。

それに対して、核分裂以外のシステムでは、事故が起こった時、人にとって安全側に動作する設計をすれば、それだけでフェイルセイフは成り立つ。
それ故、フェイルセイフ設計が成り立たない核分裂技術は人類が扱う技術ではないのである。
また、本の中で、アメリカのクイーンズ大学ジェラルド・J・S・ワイルド名誉教授が提唱している「リスク・ホメオスタシス理論」は、「安全になったために生じる新たな危険というものがある」ということを述べている。
つまり、完全な安全などはあり得ないと言う事である。
言い方を変えると、人間に完全な設計などは出来ないと言うことである。
どんなに安全性を求めても、その先にまた新たな危険が発生してしまうのであれば、核分裂技術はこの社会に絶対存在させてはならないことに成る。

また、「これからの選択」の中で、欲得や便利さに流される人間の性質を考えると、日本ではまだ、原子力にある程度、依存せざるを得ないと思っている・・・・とある。
正に欲得や便利さを今まで通り引きずった考え方である。
また、この著者も風力発電、地熱発電などが代替えエネルギーは頼りない、と言っている。
しかし、原発だっていきなり54基が出来た訳ではない。
初めはゼロだった訳で、原発社会にするには、そんなことが出来るんだろうか・・・そうしなければならない、となって、54基も作ったのではないか。
高速道路もしかりである。
高速道路網を作ろうと決めたから、今のようになったのではないか。
原発を作ろう、高速道路網を作ろう、新幹線網を作ろう、などなど、決めたから実現したのではないのか。
決めれば何でも出来るのではないのか。
まず自然エネルギー社会にしようと決めれば良いだけではないのか。
敗戦後の何もない中から、みんなが「やるぞ!」「頑張るぞ!」と決めて行動したから今に成ったのではないのか。
もし、自然エネルギー社会に向かおうと決めたとしても、プルトニュームを含む大量の放射能物質は何とかしなければならない。
原発を止めてもこの問題は大きく残る。
だからと言って、原発を継続する理由にはならない。
所詮いずれは太陽エネルギーの社会に成らざる得ないのである。
それならば、日本の経済の将来を考えて、少しでも早く太陽エネルギーに全てを依存できる技術開発を真っ先にすべきである。
それが日本の社会を支える経済を、また蘇らせることだと思う。

色々書いたが、「未曾有と想定外・東日本大震災に学ぶ・私達は今回の災害を転換点にできるのか」は是非読んでいただきたい一冊である。

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